STP分析(マーケティング戦略構築)

フレームワーク 分析

STP分析は、市場の全体像を把握し、自社の競争優位性を確立するためのマーケティング戦略のフレームワーク。マーケティング戦略の要因となる3つの要素「Segmentation」「Targeting 」「Positioning」を分析し、マーケティング戦略(目指すべき目標)を導き出します。

3つの要素

  • Segmentation(セグメンテーション)・・タイプ別に分類した「市場」
  • Targeting (ターゲティング)・・・対象とするべき「顧客」
  • Positioning(ポジショニング)・・・提供するべき「価値」


STP分析の進め方

STP分析は一般的に以下の順で行います。

1)市場の細分化 (Segmentation)
市場全体の顧客を共通のニーズや特性を持つグループに分類します。市場を分類することで、それぞれのグループのニーズや行動様式を理解し、より的確なアプローチを可能にします。

セグメンテーションに用いられる主な変数

  • 人口統計的変数(Demographic): 年齢、性別、職業、所得、家族構成、学歴など
  • 地理的変数(Geographic Segmentation): 地域、都市規模、気候、人口密度など
  • 心理的変数(Psychographic): ライフスタイル、価値観、興味、パーソナリティ、購買動機など
  • 行動変数(Behavioral): 購買頻度、購買パターン、製品の利用状況、求めるベネフィット、情報収集方法など

2) 狙う市場の選定 (Targeting)
細分化された市場の中から、自社の強みを最大限に活かし、最も収益性や成長性が見込める顧客グループを選定します。この際、主に以下の点を考慮します。
  • 市場規模と成長性: そのセグメントに十分な市場規模があり、今後も成長が見込まれるか。
  • 競合の状況: 競合が少なく、自社が優位に立てる可能性があるか。
  • 自社の強みとの適合性: 自社の製品・サービスや経営資源が、そのセグメントのニーズに合致しているか。
  • 収益性: そのセグメントから十分な収益を得られるか。

3)自社の立ち位置を決定 (Positioning)
選定したターゲット市場において、自社の製品やサービスが競合と比べてどのような独自性や優位性を持っているのかを明確にします。
  • 競合分析: 競合他社の製品・サービスの特徴、価格、品質、販売チャネルなどを調査します。
  • 差別化要因の特定: 自社が競合に対してどのような点で優れているのか(品質、価格、デザイン、サービス、ブランドイメージなど)を明確にします。
  • ポジショニングマップの作成: 2つの軸(例:価格と品質、機能とデザインなど)を設定し、自社と競合の製品・サービスをマッピングすることで、市場における自社の位置を視覚的に把握します。

4)マーケティング戦略を立てる
STPの3要素の分析ができたら、具体的なマーケティング戦略を策定します。マーケティングの戦略にはいくつもの案がありますが、多くは以下のようなパターンに分類できます。
  • 集中型:市場を絞り込んで、特定の顧客に集中してアプローチする戦略。高級ブランドやニッチな製品などが多く採用する手法。熱狂的なファンを抱えている場合は特に有効です。
  • 差別型:複数の市場に対して、それぞれのニーズに合致した複数の製品を提供する戦略。例えば、複数の料金コース、ユーザータイプを分けた商品、男女別の商品などがあります。
  • 無差別型:全市場に対して同じ製品を幅広く提供する戦略。商品の汎用性に加えて、広い広告展開や広いチャネル対策が必要になり、ブランド力、知名度なども大きく関わるため、資金力が豊富な大企業や日常必需品を手掛ける企業が展開します。


STP分析と合わせて行う分析

STP分析はこれ単体で完結するものではなく、他のマーケティング分析と組み合わせて多角的に検討することが不可欠です。
STP分析と合わせて行うべき分析は、大きく分けてSTP分析の前に行うべき分析とSTP分析の後に行うべき分析に分けられます。

STP分析の前に行うもの
STP分析は市場の細分化、ターゲットの選定、自社の立ち位置の確立を行うものですが、これらの作業を適切に行うためには、まず自社を取り巻く外部環境と内部環境を深く理解する必要があります。

STP分析の後に行うもの
STP分析で「誰に」「どのような価値を」提供するかが明確になったら、その価値を具体的に顧客に届けるための施策を策定します。
  • 4P分析企業視点でマーケティング施策を検討
  • 4C分析顧客側の視点から施策を検討
  • ペルソナ設定:顧客層をより詳細な「一人の顧客像」として具体化

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