消費者の購買プロセスを表したモデルとして有名なAIDMAやAISASがありますが、現代は、顧客行動がますます多様化しています。
今回は、AISASの弱点を補い、現代の多様な顧客行動を捉えるために生まれた新しい購買プロセスのモデルを紹介します。
今回は、AISASの弱点を補い、現代の多様な顧客行動を捉えるために生まれた新しい購買プロセスのモデルを紹介します。
AISCEAS(アイセアス)の法則
AISCEASは、ECサイトやレビューサイトが充実した現代において、顧客がより慎重に比較検討するプロセスを明確化したモデルです。インターネット時代の購買プロセスを示す「AISAS」に、「Comparison(比較)」と「Examination(検討)」の2つのプロセスを追加しています。- Attention (注意): 消費者が広告やメディアを通じて、特定のブランドや商品に気づく段階。
- Interest (関心): 商品やサービスに興味を持ち、もっと知りたいと感じる段階。
- Search (検索): 興味を持った商品について、インターネットで詳細情報を調べる段階。口コミやレビュー、価格比較サイトなどが利用されます。
- Comparison (比較): 複数の商品やサービスを比較検討する段階。機能や価格、サービス内容など。
- Examination (検討): 比較検討の結果、候補を絞り込み、購入するかどうかを最終的に決める段階。
- Action (行動): 実際に商品を購入したり、サービスを申し込んだりする段階。
- Share (共有): 商品やサービスを購入・利用した経験を、SNSなどで他者と共有する段階。
インターネットが普及し、情報があふれる現代では、顧客は単に「検索」するだけでなく、複数の候補の中から最も自分に合った商品やサービスを見つけるために、「比較」や「検討」のプロセスを非常に重視するようになりました。
SIPS(シップス)の法則
SIPSは、SNS上での共感やユーザー間のつながりが購買の起点となるという、新しい時代の情報伝播を捉えたモデルです。SNSが購買行動に与える影響を重視したモデルで、以下の4つのプロセスで構成されています。- Sympathize(共感):SNSのタイムラインで友人やインフルエンサーの投稿を見て、商品やサービスに対する「いいね!」や共感から興味を持つ段階。従来の「Attention」や「Interest」と異なり、共感が起点となります。
- Identify(確認):共感した商品やサービスについて、さらに詳しく情報を確認する段階。口コミや評判、公式アカウントの情報を探します。
- Participate(参加):「いいね!」を押す、コメントを投稿する、イベントに参加するなど、商品やブランドに直接関わる段階です。この「参加」行動が、エンゲージメントを高めます。
- Share & Spread(共有・拡散):自ら商品を購入したり、体験したことをSNSで共有したりすることで、情報がさらに拡散していく段階。
【生まれた背景と特徴】
このモデルは、電通が提唱したAISASよりもさらに進んで、SNS上での「共感」や「つながり」が購買の出発点となることを強調しています。