ダイナミックプライシング

用語

ダイナミックプライシング(Dynamic Pricing)とは、需要と供給の状況に応じて、商品やサービスの価格をリアルタイムで変動させる価格設定戦略。
日本語では「動的価格設定」や「変動価格制」とも呼ばれる。
過去の販売実績データ、天候、曜日、時間帯、競合の価格、イベント情報など、様々なデータをAIやアルゴリズムで分析し、最適な価格が自動的に決定されることで、企業は収益の最大化を目指し、顧客は需要の低い時期に安く商品を購入できる機会を得られる。

ダイナミックプライシングの具体例

ダイナミックプライシングは、需要が高まる時期や時間帯に価格を上げ、需要が低い時期に価格を下げる。

需要が高い時: 価格を上げて収益を増やす。
  • 週末や祝日の宿泊料金
  • 人気の試合のチケット
  • 連休前の航空券
  • 通勤ラッシュ時の電車料金

需要が低い時: 価格を下げて販売機会を増やし、在庫の売れ残りや空席・空室を減らす。
  • 平日の宿泊料金
  • 雨天時のテーマパークのチケット
  • 深夜のタクシー料金

具体的な導入事例
  • 航空業界: シーズンや予約の埋まり具合に応じて、航空券の価格が変動する。
  • 宿泊業界: 繁忙期やイベントの有無、残室数などによってホテルの宿泊料金が変動する。
  • 交通機関: JR東日本の「オフピーク定期券」のように、混雑しない時間帯の利用を促すために運賃を安く設定する。
  • エンタメ業界: 野球やコンサートのチケットが、人気度やチームの成績によって価格変動する。

ダイナミックプライシングのメリットとデメリット

ダイナミックプライシングは、企業と顧客の双方にメリットとデメリットがある。

企業側のメリット
  • 収益の最大化: 需要に応じて価格を調整することで、高需要期にはより多くの利益を確保し、低需要期には販売機会を逃さず、在庫ロスを防げる。
  • 人的リソースの削減: AIやアルゴリズムを活用することで、手動での価格決定にかかる時間と労力を削減できる。
  • 在庫・廃棄ロスの削減: 需要が低い時期に価格を下げることで、売れ残りを減らし、特に生鮮食品などの廃棄ロスを抑えることができる。
企業側のデメリット
  • 顧客の不満: 突然の価格変動に対し、顧客が不公平感や不信感を抱く可能性がある。これにより、顧客離れにつながるリスクがある。

顧客側のメリット
  • 低価格での購入機会: 需要の少ない時期や時間帯を狙えば、通常より安く商品やサービスを利用できる。
  • 購入機会の増加: 人気で入手困難な商品でも、需要に見合った価格を支払うことで手に入れられる可能性が高まる。
顧客側のデメリット
  • 高価格での購入: 必要な時に需要が高まっていると、高い価格で購入せざるを得ない場合がある。



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